松田直樹を忘れない。~闘争人II 永遠の章~ (SAN-EI MOOK)
松田直樹がこの世を去って2年。
マリノスを解雇されてから、彼が志半ばで倒れるまでを綴った本を読みました。
実はこの「闘争人」は前作があります。
そっちはまだ松田直樹がマリノスにいた時に出た本で、
彼のサッカー人生を振り返るような内容だったんですけど、
正直あんまり良い出来ではないなと思ってたんですよね。
そんで「闘争人U」を読むわけですが、
これはもうアツさが全然違って。
「松田直樹はこういう人間なんだ!」っていうのが、
凄い伝わってくるように感じたんです。
そこで思ったのが、たぶん前作って本人から直接話を聞いて書いた本だと思うんです。
半生を語る上でのエピソードとか、あのときなんて言ったかとか。
一方で今作はもちろん周りの人間にしか話が聞けないわけですよね。
それでもなぜか今作のほうが内容が濃いっていうのは、
たぶんそれこそが松田直樹という人間を象徴していると思うんです。
例えば昔話をしていて、言った方は覚えてないけど、
言われたほうは凄い覚えてるってことよくあるじゃないですか。
なんかそういう部分があるんじゃないかと思って。
冒頭に佐藤由紀彦が松田にある相談をされたシーンがあるんですけど、
「俺はユキに比べると、まだ状況的にいいな。
お前は厳しいな、しんどいな。
俺、いいな、マリノスいいな」
松田直樹はこういうことをズケズケと言っちゃう人で。
事実、佐藤由紀彦はこれに対して少しムッとしたらしいんですけど、
こういうのって、絶対言ったほうは覚えてないですよね。
特に松田直樹みたいな人間は気にしてもいないと思うんです。
この他にも松田直樹が生前に言ったこと、やったことが周りの人間の視点で紹介されます。
そのエピソードの一つ一つが濃いのは、
言われた方、やられた方の記憶に深く残っているからなんじゃないかと。
だからこそ今作はアツいんです。
「人はいつ死ぬと思う?」「人に忘れられたときさ」
ってONE PIECEのドクターヒルルクは言ってましたけど。
周りの人間が語る"松田直樹"は彼らの中で"生きてる"んですね。
読んでいてそれは凄い感じたし、
栗原勇蔵の言葉もそれを物語ってます。
作者「お墓参りには行かないと聞いたんだけど」
栗原「うん、行かないようにしている。だってそれだと死んだ人みたいだから」
自分自身を自分勝手なまでに周りに振りまいていた人間の、
その染み出た人間性の一つ一つを絞って集めたような一冊。
彼がどれほどの人に愛され、どれほどの人に支えられていたのか。
「おれ、好かれてるのかなあ」
って言っちゃう彼自身が、一番"松田直樹"を知らなかったのかもしれません。
本を長い時間読まないぼくですが、あまりのアツさに一気に読みきってしまいました。
「松田直樹というはこういう人間だ!」
というのが嫌というほど分かる本です。
彼自身が知らなかった"松田直樹"を、多くの人に知ってもらえますように。