2011年07月02日

"僕の好きな人が、よく眠れますように"の感想 〜読ませる小説と考えさせる小説〜

大変お久しぶりです、市村です。
ブログの書き方を忘れてしまいそうです。
今回は中村航の『僕の好きな人が、よく眠れますように』の感想です。

僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)
僕の好きな人が、よく眠れますように (角川文庫)中村 航

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そもそも僕がこの本に興味を持った理由は、
この本の巻末に付いている"解説"でした。
ぼくの好きな歌手であるたむらぱんが、
田村歩美(たむらぱん)というクレジットで解説を書いている。
それが僕がこの本を読んだ理由でした。

世の中には2種類の小説があると、僕は思います。
それが、"考えさせる小説"と"読ませる小説"。
羅列されたセンテンスを追うごとに、
読者に"思考"させるような"考えさせる小説"と、
次から次へと先が読みたくなるような、
"読ませる小説"。
この本はいい意味でも悪い意味でも後者だったと、僕は思います。

ある女性と出会い、ある先輩と出会い、
そして女性と愛しあって、終わる。
物語とは往々にして"何かが起こるもの"だと思いますが、
極端に言えば、この物語は「何も起こらない」。
それが良いか悪いかは置いておいて、
僕はそのような感想を抱きました。

したがって、この本に関して言えば、
何を思い、何を感じたかがそこまで重要だとは思いません。
僕の感受性の問題もあるとは思いますが、
この主人公は問題に対して乗り越えようとしていなければ、
そもそも乗り越えるべき問題すら存在していないのと同等です。
そういう意味で、「始まって終わる小説」、
僕にはこの小説はそんな風に感じました。

一方で、僕はこの小説をそこまで否定的に捉えているわけでもありません。
というのも、事実この小説を読んでいるそのときは、
僕は物語にのめり込んでいたからです。
何かを思い、感じていたわけではありませんでしたが、
少なくとも"次の一行"を読ませる力が、この小説にはあった。
その意味ではこの小説は"読ませる小説"としては、
十分に機能していたと僕には思えました。

例えば『ロックンロールミシン』という作品があるのですが、
その小説も言わば「始まって終わる小説」。
しかし僕はその作品がすごく好きで、
好きな小説として挙げることも少なくないのですが、
『ロックンロールミシン』と『僕の好きな人が〜』の大きな相違点。
それは『僕の好きな人が〜』が恋愛をテーマに書かれていることだと思います。
もはやこれは僕が恋愛についてどう考えているかの話なのですが、
僕にとって恋愛が大きな人生の目的に成り得るとはあまり思えません。
表現の方法が難しいのですが、分かりやすい例えで言えば、
「見つめ合うよりも、同じ方向を向いていたい」
というようなことでしょうか。
僕はそう考えてしまいます。

上の話で言えば、この小説で書かれる"恋愛"は、
まさしく"見つめ合う恋愛"であるだろうし、
その意味でも僕には大きな出来事だとは思えませんでした。

ここまで書いて思うことは、
おそらくは僕の恋愛に対する偏差値が低すぎることが問題かなと。
まあ恋愛低偏差値なりに言わせてもらえば、
こんなカップル見てて恥ずかしいですけどね。
世間の人たちってこうなりたいんですか?
それはあんまり分からないです。






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posted by 市村 at 15:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月07日

"佐藤悠介本"の感想 〜選手本として〜

2010年を持って、現役引退をした栃木SCの佐藤悠介が本を出版しました。

感謝 そして旅立ちへ
感謝 そして旅立ちへ佐藤悠介

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弟がすでに購入済みだったんですけど、
佐藤悠介に対しての"感謝"を表すために、
自分用を買いましたよ。

「そもそも佐藤悠介ってだれ?」って人のために軽く説明すると、
佐藤悠介は栃木SCに在籍していたプロサッカー選手。
2010年をもって現役を引退し、今は栃木SCの"ドリームアンバサダー"に就任しました。

栃木SCはぼくが小学生のとき、つまりは10年くらい前に
J2のさらに下部リーグであるJFLに加盟していました。
当時はスタジアムもガラガラで、一部のファンと選手の知り合いくらいしかいませんでした。

そんな中で栃木SCは「J2」を目指すことになります。
そして2008年、栃木SCは昨年を超える「大量補強」を行います。
そのときに栃木に来てくれたのが佐藤悠介です。
悠介は特に補強選手の中でも有名な選手でしたが、
「佐藤悠介がJFLなんて・・・」という声の中、
栃木SCというチームを選択してくれました。

栃木SCは佐藤悠介を中心にJFLなんてリーグを2位で終わり、
念願のJ2昇格を果たしました。
佐藤悠介は個人でも16得点を記録するなど、
本当に彼がいなかったら昇格しなかったと思うくらいの活躍をしてくれました。

というわけで、ぼくら栃木SCのファンは彼への感謝の気持ちは忘れられません。
そんな彼のサッカー選手としての"生き様"がこの本には書いてあります。
栃木で戦っていたときの苦悩や苦労などは、
「そんな苦しい中で戦ってくれたのか」と、
ますます感謝の気持ちが高まりました。


とまあ、佐藤悠介選手に関しては本当に感謝してもしきれないのですが、
個人的に触れておきたいのは、「選手本」としてのこの本の良さ。
以前、松田直樹の著書を購入したのですが、
松田直樹がどうという問題ではなく、その構成があまり良くなかった。
というのも語り手がライターという体で、
第三者的に松田直樹という選手を語るスタイルだったんですよね。
それがどうにも面白くなくて、せっかくの選手本なのに
松田直樹が起こした事件や事実のみで、新たな情報が少ないんですよね。

一方で佐藤悠介の本が良かったのは、佐藤悠介の語り口で書かれていること。

「今考えても、2008年は精神的に辛かった。それで夏以降は勝てなくて、9試合勝ちなしの時期が一番辛かったね」
(本文より引用)

このように一人称で書かれているだけで、かなり感情移入して読むことができる。
中に書かれているのも佐藤悠介が実際に思ったこと、考えたことが書かれていて、
それが当時をファンとして体験してきた者としては、
選手の視点から語られる部分に感動を覚えるわけです。

そういう意味でもこの本はすごく良い本だと思う。
「ぼくの人生を360度変えてくれた」などの少し笑ってしまう部分はあるけど、
それが逆に悠介らしいというか、味を出しているとも思います。
普通は元代表選手のような選手しかこういう本は出さない。
そこらのJ2チームのキャプテンが本を出すケースは聞いたことない。
その中でこのような本を出版してくれた人たちにも感謝したいなぁと思います。

2011シーズンを勝利でスタートした栃木SC。
これからも栃木SCを応援していきたい。
栃木最高!!








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posted by 市村 at 20:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月27日

「スカイ・クロラ」シリーズのまとめ

このブログで書いた「スカイ・クロラ」シリーズをまとめておこうと思います。

まずは映画の感想。

市村の感想: "スカイクロラ"の感想 


そして小説の感想それぞれ。

市村の感想: "スカイ・クロラ"の感想

市村の感想: "ナ・バ・テア"の感想

市村の感想: "ダウン・ツ・ヘヴン"の感想



ここで気づいたんだけど、
全作品書いたと思ってたら書いてないのね。
うーん、いつか書くか。
posted by 市村 at 04:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月19日

"伊集院光「のはなしさん」"の感想 〜最初と最後の2つのはなし〜

高校生のとき、伊集院光のラジオを聴いて衝撃を受けたぼく
それから伊集院光という人に影響を受けまくって生きております。
そんな中で彼のエッセイ第三弾です。

のはなしさん
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この伊集院光のエッセイ「のはなし」シリーズはこれで3冊目。
ラジオともまた違う、文章による"話芸"のようなこのエッセイ。
基本的には過去に発表したメルマガを再編集したもので構成されているらしく、
どの"はなし"を読んでも伊集院光独自の視点から綴られる文章に笑わせられてしまうと思います。

その中で、是非触れておきたい2つの"はなし"があります。
それが「愛だの恋だの」の話と「んー」の話です。
エッセイの最初と最後に用意されたこの2つの"はなし"は、
他の爆笑文章とはまた少し違った味わいを感じさせます。

「愛だの恋だの」は、伊集院光の恋愛観の話。
スキャンダルの多い男を「恋愛の達人」と呼ぶことに不満を持っている伊集院光が、
自分が浮気をしたことがない、するつもりもないことをTVで発言したという話です。
この話を読んで感じられたこと。
それは"奥さんへの愛"。
伊集院光なりに笑いのスパイスやオチもしっかり用意してあり、
話の"外観"は他の話と変わりませんが、
中に包まれているものに少し違う匂いを感じました。

また「んー」の話は、三遊亭円楽師匠のお葬式の話。
落語家を志していた伊集院光は三遊亭円楽の元孫弟子なのですが、
しかし落語を途中で辞めてしまった自分が葬式に参加してよいのか迷う話です。
こちらも他の笑い話とは少し違っていて、
そこにあるのは"感謝"なのかなと。
楽太郎師匠への感謝、円楽師匠への感謝、ひいては落語への感謝。
同時にそれらに対して申し訳ない気持ちもあるように感じます。

この2つの話に挟まれて、本エッセイは一つの作品になっています。
単なる爆笑エッセイとして読まれるであろう、この作品。
ですが、同時にこれは
「奥さんへのラブレター」であり、「円楽師匠への弔辞」なのかなぁと。
そんなことを思いました。


伊集院光
市村の感想: "明石家さんまと伊集院光、それぞれが見つけた魔法のカギ"の感想 〜伊集院光に魅せられてしまった高校時代〜


のはなしさんのはなしさん
伊集院 光

のはなし のはなし にぶんのいち~イヌの巻~ (宝島社文庫 C い 6-1) のはなし にぶんのいち~キジの巻~ (宝島社文庫 C い 6-2) マボロシの鳥 D.T.

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posted by 市村 at 14:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

"T京K芸大学マンガ学科一期生による大学四年間をマンガで棒に振る"の感想 〜これじゃダメなのか。。。〜

pixivの凄いマンガをはてブで見つけました。

T京K芸大学マンガ学科一期生による大学四年間をマンガで棒に振る

pixivに投稿されたマンガなので、pixivの会員登録をしないと読めないかもしれません。

これをマンガ専攻の大学生と共に読んだのですが、
「他人とは思えない・・・!!」だそうです。
特に持ち込みのシーン、周りのやる気の無さはぼくの友人も感じていたらしく、
そして最後の彼女のセリフには心が痛くなったそうです。

いや、漫画家という仕事が大変な職業だということはなんとなく聞いていましたが、
本当に本当に辛い現実がそこにあるんですね。
バクマン」というマンガが現在ジャンプで連載されていますが、
あそこで描かれている姿だけを漫画家だとは思わないほうがよさそうです。

そもそも一番驚きなのは、
これが実話だとしてこのマンガを描ける人がこういう体験をしていること。
間違いなく面白く、惹き込まれさえするのに、
それでも賞にも引っかからないのでしょうか。

深夜に何気なく見つけたマンガでしたが、眠気が一気に吹っ飛びましたね。
ぼくの友人も「マンガやりたくなったわ!」と言っていました。
マンガという文化は素晴らしいもの。
でもその裏で血の滲むような努力をして
それらを生み出している漫画家さんたちがいるんですね。




バクマン
市村の感想: "バクマンの法則"の感想 〜全ジャンル漫画の到達点〜


バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)
小畑 健 大場 つぐみ

バクマン。 2 (ジャンプ・コミックス) バクマン。 3 (ジャンプコミックス) バクマン。 4 (ジャンプコミックス) バクマン。 5 (ジャンプコミックス) バクマン。 6 (ジャンプコミックス)

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posted by 市村 at 04:20 | Comment(0) | TrackBack(1) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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