2011年02月02日

"なくもんか"の感想 〜八方美人映画〜

阿部サダヲ主演、「なくもんか」を観ました。

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脚本・宮藤官九郎、主演・阿部サダヲと実力者が名を連ねた映画でしたが、
個人的にはどういう映画なのか分からずに終わってしまったという印象でした。

この映画の主人公は「誰にでもお人好しな八方美人」という設定です。
その中で、兄弟の問題、親子の問題、そして家族の問題が出てきます。
さらには善意についても言及するようなシーンもあり、
これだけみても盛りだくさんなテーマを抱えています。

そんな様々な問題に手を出すものの、
決定的な解決はされずに映画は終わっていきます。
「兄さん」や「お父さん」と呼ばれることを一応の解決としている節はありますが、
なんかそれまでのフリが弱いというか、
そう呼ばれることだけで簡単に解決しているように思えます。
また日曜日に姿を消し、月曜日になると元気になって帰ってくるというミステリアスな設定も、
単なるおふざけというか、何の中身もなく終わってしまいました。

「誰にでもお人好しな八方美人」という設定も、
考えればいくらでも活かすことができるはずなのに、
どうも上手くない使い方をしているように思えてなりません。
お人好しな兄と独りで生きてきた弟という対比もあれば、
「心の奥では笑っていない兄を笑わせたい」という弟のセリフもあります。
なのにそれらを全然活かさず、ひいてはラストの「なぜ笑っていられるか」の質問にも、
「好きでやってるから」というのも弱いなぁという印象。
なんかムズムズする映画でした。

個人的な感想を言えば、様々なテーマにいたずらに手を出しすぎたんじゃないでしょうか。
兄弟、子供、父親、家族、人付き合い、善意。
言わばテーマに対しても八方美人すぎたというか。
どこにもいい顔しようとして、映画としては薄っぺらになってしまったという印象でした。

ところどころで強引な展開に笑ったりもしたんですけどね。
どこか方法論からの脱却に固執しすぐているようにも思えました。
うーん、ぼくには合いませんでしたね。
どうなんだろう。




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2011年01月29日

"映画「ソラニン」"の感想 〜漫画原作映画の行方〜

高校のころ、浅野いにおの原作をジャケ買いした「ソラニン」
映画化からだいぶ経ってやっと観ることができました。

ソラニン スタンダード・エディション [DVD]
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ぼくにとっては原作が大きすぎる作品なので、
映画をどういう風に観ればいいのか迷う部分もありました。
それでも原作を忠実に再現していて、映画としての役割は全うしているかなと。
作品の世界観を壊すようなことはほぼ無かったと思います。

ただ少し思うのは、原作を忠実に再現することに成功したことで、
それが強烈なブレーキになってしまったようにも思えます。
原作はいわゆる連載漫画なので、どこかで一話一話に起承転結を含んでいました。
だからこそだらっと続く作風でも、ゆったりと物語を転がすことができたのでしょう。

しかし、映画ではそうはいきません。
すべてのシーンを通して一つの起承転結を形成しなくてはいけない。
そう考えたときに、連載漫画としては機能していたものも、
そのまま映画で同じことをやっても、どこかで推進力に欠ける印象を生んでしまいました。

そもそも漫画原作の映画のゴールってどこなのでしょう。
一般的に漫画を原作にした映画は「原作を超えていない」と批判されることが多いのですが、
このように忠実に再現したとしても、
それは映画として機能しない場合が多いのかもしれません。
そういう意味で、漫画を原作にした映画は難しさを感じさせます。

とは言え、素晴らしいところもたくさんある作品だったと言わざるをえません。
主演の宮崎あおいさんは、芽衣子を彼女なりに料理して素晴らしいキャラを産み出していたし、
ビリー役の桐谷健太さんは存在感抜群で、
黙って立っているだけでなぜか面白いっていうのは凄い役者さんだなぁと。
そしてなにより加藤役のサンボマスターの近藤さんがハマりすぎ。
容姿が似ているだけでなく、ちゃんと演技で加藤を再現してくれたことに感動しました。

そして触れずにはいられないのは、
ASIAN KUNG-FU GENERATION作の「ソラニン」の素晴らしさ。
作中で流れる「ソラニン」のイントロに、本当に感動してしまいました。
ラストの演奏シーンも宮崎あおいさんが意外と歌がハマっていて良かったと思います。
なんか口パクっぽかったけど。

そういう意味で、映画としては物足りなさを感じてしまったところはあるけれど、
素晴らしいところもたくさんあった映画でした。
原作ファンは観ておいてもいいかもしれない。





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posted by 市村 at 21:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月23日

"AKBの映画"の感想 〜あらすじのない物語〜

先日NHKで放送されたAKBのドキュメンタリーを観て、映画にも行ってきました。

市村の感想: "AKB48ドキュメンタリー"の感想 〜映画観たくなった〜

akb48_110107_photo.jpg

いやー、楽しめませんでしたね。
正直に言って、ぼくは全然楽しめませんでした。
これはぼくがAKBについてほとんど何も知らないっていうが大きいと思うのですが、
構成なんかも含めて、退屈でしょうがなかったと言わざるをえません。

まずそもそも説明が少なすぎるっていうのが一番の感想ですね。
この映画は15人のメンバーにインタビューしていく構成なのですが、
「◯期生」とか「チームA」とか、よく分からないし、
そもそも初めて名前を知るメンバーも何人かいて。
映画館で置いてけぼりを食らった感じになってしまいましたね。

例えるなら前回までのあらすじがない連載漫画のようなもので。
知らない用語、初めて知るメンバーがいるっていうところが問題というよりは、
その説明がほとんどなかったことが問題なんじゃないかなぁと思います。

そして映画の構成にめちゃくちゃびっくりしました。
ドキュメンタリーって言うくらいだから、舞台裏に密着みたいな、
どこかでAKBっていう物語を追体験できるものだと思っていましたが、
そこに映ってたのはただ単に15人のインタビューを並べただけ。
これはAKBを知らないぼくにとっては辛い構成でした。

サブタイトルに「10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」とありますが、
これは本当に彼女たちの"現在"を記録しただけで、
10年後のための記録、もっと言えば10年後だけのための映画になってしまったという印象です。

まあだからとにかく映画に関してはぼくみたいな門外漢にとってはほぼ無価値。
ファンの人にすればある程度は楽しめるのかもしれませんが、
おそらくこれまでのAKBの奇跡を追ったほうが絶対面白かったと思います。
そういう意味で、NHKのドキュメンタリーは本当に素晴らしかったと言わざるをえない。

NHKのドキュメンタリーは、高橋みなみを語り手として、
それこそAKBが体験したことを彼女の口から語らせることで、
そこにあった物語を追体験できるものでした。
ここで重要だったのは語り手が高橋みなみだったことではないかと思っていて、
それは高橋みなみを語ることが、AKB48を語ることとほぼ同義だからではないかと。
だからこそNHKのドキュメンタリーはもともと物語性の強いAKB48という素材を、
さらに光らせることに成功していたんですね。

ここでぼくが思ったのは、もしかしたら観る人が観たら面白いんじゃないかということ。
思えば15のインタビューを並べただけという構成も、
知名度の低いメンバーから、だんだんと知名度の高いメンバーに行き、
最後は高橋みなみに繋ぐという構成になっていました。
もしかしたらこれが実は、ファンからすれば一つの"物語"になっていた可能性はあるなと。

残念ながらぼくは基礎知識が無かったので、そのような楽しみ方はできなかったわけですが、
欲を言えば初めてAKBを知るような人にも向けた映画にして欲しかったなぁと。
そういう意味で、ある程度は物語を創って映画にして欲しかったと思いました。
うーん、ぼくにはこれくらいしか言えません。
ファンの人は楽しんだのかなぁ。。。





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posted by 市村 at 22:25 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月15日

"ソーシャルネットワーク"の感想 〜現在進行形の物語〜

話題の映画「ソーシャルネットワーク」を観てきました。

imagefwffw.jpg

Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグが、
どうやってFacebookを創り上げたか、そしてそこに至るまで何があったか。
それを描いた物語。

※以下ちょっとネタバレあります

単純に見終わった感想は「すごく面白かった」。
キャラクターの説明が映画的に分かりやすく描かれ、
物語の方向性の提示も上手い。
そしてなんといっても"興味の持続性"がハンパなく。
次々と物語は展開し、120分がとても短く感じました。

この映画は例えば起承転結と言った映画の方法論に沿っていないと思います。
言ってしまえば"結"さえも存在しない。
というのも、そういう手法になったのには理由があると思って、
それが、この物語が現在進行形で進行中の物語だからだと思います。

映画は過去と現在2つの視点を行き来します。
Facebookを創り、それを育てていった過去と、
その後友人たちに訴えられた現在。
現在の視点ではそれぞれの立場によって意見が食い違う場面が見られます。
そこには"事実"というものがどこにあるのか分からないようにも思われます。
ではなぜこのような描かれ方になったか。
それはこの映画そのものが"事実"を保有していない映画だからだと思います。

そもそも、この映画には原作となった本があります。

facebook

この本のまえがきにはこう綴られています。

なお、本書の執筆に際して、マーク・ザッカーバーグに何度も取材を申し込んだが、
彼が有する正当な権利に基づいてすべて断られたことを言い添えておく。
「Facebook まえがき」より

つまり、マーク・ザッカーバーグの物語である一方で、
この物語は本人による言及は一切されていないらしいんですよね。

この映画に対して本人が出したコメントは以下。

「映画では、僕が好きな女性に振られてしまって……女の子に振られることは実際何度もあったけど(笑)、フェイスブックを立ち上げたのは女の子たちにモテたいから、そしてエリートの仲間に入りたいから、という理由で描かれている。何かを作りたいから作った、という考えは、映画製作者たちには考えられなかったみたいだね」
フェイスブック創設者のマーク・ザッカーバーグ、映画『ソーシャルネットワーク』にダメだし? - シネマトゥデイ

つまりはこの映画は本人不在の中で創られていった物語であり、
ある種映画的に偏って描かれたであろうことは覚えていなければいけないと思います。

ただ、この作品を一つの映画としてだけ観れば、優れた作品であることも事実です。
片方の意見のみを聞いて作った割にはマーク・ザッカーバーグを尊重していたとも思えるし、
一つの物語として大きく結ぶことはなくても、ラストの行動には感動を覚えた人も多いはずです。

この映画は次々と物語が展開していきますが、
ラストで物語を結ぶことなく映画が終わります。
なぜそのようなラストになったか。
それはインターネットの世界こそ、次々と物語が展開し、
そして未だそれが続いている世界だから
だと思います。

それに魅せられたマーク・ザッカーバーグという男の物語を、
そのように描いたのはとても納得できる作り方でした。

この物語は、Facebookという世界の中で今も続いています。
今後この物語がどこに向かってどう結ばれるのか。
それはFacebookの中で知るしかないのかもしれません。


原作「Facebook」の感想はこちら
市村の感想: "Facebook"の感想 〜三人称の物語〜

「ソーシャルネットワーク」についての町山さんの紹介はこちら
市村の感想: "キラキラ「ソーシャルネットワーク」"の感想 〜町山さんの紹介〜







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2010年11月25日

"ラーメンズ「TOWER」"の感想 〜ラーメンズの再確認〜

中学生のときにレンタルビデオ屋で偶然発見したラーメンズの「HOME」。
最初は意味がわからなかった。
しかし、いつまでも忘れられなかった。
徐々に、そしていつの間にか、僕は虜になっていた。
ラーメンズという新しい笑いに・・・
というわけで「TOWER」の感想です。

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笑えるラーメンズ

どうやらこの作品、なんか賛否両論らしい。
だけどぼくは個人的に大好きだと思いました。
そもそも単純に笑えたコントが多くて、改めて「ラーメンズ面白え!」って思えました。

なんつーかラーメンズの特徴ってかっこつけたコントにあることはわかるんだけど、
たまにそんなラーメンズを観ている自分に気持ち悪くなるときがありますよね。
「これで笑ってる自分」に酔いそうになるというか。
そういうのラーメンズは確信犯的にやってると思うからいいんですけど、
極まりすぎると気持ち悪くなる部分はあると思って。
そういう意味でTOWERは笑いが最初にある感じがしてとても好きです。

「はじめてのラーメンズ」

ラーメンズ「TOWER」は、背表紙に書いてある小林賢太郎の言葉が
すべてを物語っていると思います。

「きっとラーメンズがどういうものか、伝わると思います」

例えばTOWERの中に出てくるキーワードは「箱」「無言劇」「言葉遊び」。
これらはラーメンズのラーメンズたらしめている象徴的な要素です。
そして正しいコバケンと、正しくない仁さん。
どこかで初見の人に向けた「はじめてのラーメンズ」を意識しているような気もしないでもない。

「TOWER」とは何か

というわけで、この作品では笑いへの"新たな挑戦"はしていないように思えます。
言ってしまえば"持っている武器"で戦っているような。
そういう意味では言葉の可能性を探りに探った前作「TEXT」の反動もあるのかもしれないけど、
言わば『TOWER』は"ラーメンズの再確認"がやりたかったんじゃないでしょうか。
未来から過去を振り返ったときに、"ランドマーク"としてこの作品が見えるように。
そういう意味での『TOWER』を、小林賢太郎は作りたかったのかもしれません。

新しい"笑い"の可能性を常に提示してきたラーメンズ。
ここで一度"今まで"をストアした彼らが、次に見せるのはなんなのでしょう。
新しいラーメンズがとても楽しみです。






posted by 市村 at 14:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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