2015年01月25日

「間宮兄弟」の感想 -「自分の物語」を精一杯楽しむ-

間宮兄弟 スペシャル・エディション (初回限定生産) [DVD] -
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同じマンションで仲良く暮らす間宮兄弟。兄はビール会社で働き、弟は小学校の校務員をやっている。休日は2人で野球を観たり映画を観たりの毎日。そんな中で女っ気のない生活を変えようと、レンタルDVDショップで働く女の子を自宅のカレーパーティに誘う、というお話。

この映画、最高に響いた。というのも、例えば「リア充」という言葉がある。「リアルが充実しているやつ」の略ということだが、つまり友だちがいっぱいいて、女の子をとっかえひっかえしながら毎日楽しそうに生活している〜等がぼくの「リア充」のイメージだ。一般的に見ればこの「間宮兄弟」は「非リア充」の物語だろう。少しオタクっぽいおっさん2人兄弟がマンションで一緒に暮らしてて、どちらも彼女もいなければ、兄弟以外の友だちも少なそう。休日、スコアをつけながらテレビで野球観戦をする姿なんて「リア充」のイメージに遠く及ばない。

でも、果たしてこの2人自身は自分たちが「リアルが充実していない」と思っているのだろうか。テレビで野球観戦をしているときの真剣な眼差し。2人で映画について語り合っているときの楽しそうな表情。それこそまさに「リアルが充実している」ような顔をしている。

つまり、この映画は「非リア充の物語」では決してなく、「こういうリア充もある」という物語なのだと僕には思える。

物語のメインはこの2人の恋の物語なのだが、彼らは「女の子を家に誘うことができた」「パーティを楽しんでもらえた」ということに一喜一憂する。一般的に恋の物語というと、告白するとか、相手に彼氏がいたとか、それを奪ってやるだとか、そんでラストにキスしちゃうとかがあるけども、この2人にとってみれば、そんなものは必要ない。「女の子を誘う」が一大イベントなのであって、「2人っきりのデートに断られる」が絶望なのである。

物語のラストはクリスマスに弟の携帯にメールが届くところで終わるのだが、これも一般的な価値基準で言えば「これからの未来を思わせる〜」程度な扱いだろうと思う。しかし、彼らの基準で言えば、「クリスマスに女性からメールが届く」こと自体が最高のハッピーエンドなのだと僕には思えるのだ。

僕個人もどちらかといえば「リア充」側の人間ではない。友だちも多くないし、女の子と付き合った経験もほとんどない。やっぱりそういう部分を省みるを自分に自信がなくしてしまう。ただ間宮兄弟はそういうことを悲観していない。「一般的に」とか「他人と比べて」という枕詞を外して、単純に「自分たちが」楽しいと思えることをやって、そして「自分たちが」楽しかったから思い切り笑う。そんな彼らを観た僕には、彼らこそ本当の意味で「リアルが充実している」と思えたのだ。

世の中には色々な人間がいるが、人間は「自分の物語」から出ることはできない。モテないやつが急に女の子をとっかえひっかえしたり、弱いやつが急に世界を救うなんてことはほとんどない。それならば自分にとっての成功で喜び、自分にとっての失敗にだけ悲しめばいいのかもしれない。「他人の物語」に脇役としてわざわざ登場して、悲しむ必要なんてなくて、「自分の物語」の主役として生きていくことが、人生を本当の意味で楽しむコツなのかもしれない。そんなことを映画を観終わって思わせてくれた、間宮兄弟に感謝。


posted by 市村 at 11:16 | Comment(3) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「婚前特急」の感想

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あらすじを読んだ感じだと、5股をかけてる主人公の女の子が、友だちの結婚を機に「5人の彼氏たちを悪い方から一人ずつ切っていって残った一人と結婚する」と決めて、一人ずつ関係を切っていくというお話。設定としては面白いし、途中までは「こっちが5股かけてると思い込んでた女の子が、実は彼氏の方も別にそこまで大事にしてなくて〜」っていう徐々にその関係性が露わになっていく感じが面白かったんだけど、どうも終わってみるとちょっと尻すぼみしてしまったように感じた。

というのも、この5股っていう設定を活かすためには5人の彼氏それぞれとのエピソードを描かなければいけないと思うし、最後に誰かと結婚するっていうのが決まっているのであれば、「最終的に誰と結婚するの!?」っていうのを観ている人に期待させるべきだと思う。でも途中からある一人の男とのエピソードだけに終始してしまうし、オチも結局そこに向かってしまうので面白そうな設定で膨らんだ期待を上回れずに終わってしまった印象。最後におばあさんが唐突に登場して「生きてるうちにケンカをしておいた方がいい」みたいなことを言うんだけど、そもそもケンカがどうこうって初めて出てきた話だし、その後そのおばあさんの言葉が効いてるのか効いてないのかもよくわからない。ウダウダやってた割にはなぜその結果を選択したのかってところは説得力がない。やっぱりオチをキレイに見せる工夫には欠けていると思った。

良かったところとしては、吉高由里子が最高にバカっぽい女を演じているところ。「他人を見下している人間は、自分も誰かに見下されている」っていうところが杏が演じる友だちを通して描かれていて、そこはちょっと素直に共感してしまったし、自分も見直そうと思った。加えて彼氏の一人である浜野謙太も良かった。クズなのにどこか許してしまう男を上手く演じていたと思う。この浜野謙太がサケロックのメンバーの一人だってことを初めて知った。星野源とバンドメンバーだったのかいっていう。どんだけ演技派のバンドなのだろう。

吉高由里子と浜野謙太は良かったけど、映画としてはあまり楽しめなかったかな。加瀬亮の無駄遣い。

posted by 市村 at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月11日

ライムスター宇多丸が嫌いになってきた

ライムスター宇多丸さんの映画批評が嫌いになってきた。

一番最初に映画批評のコーナーを聴いたときは、
水道橋博士も言ってたけど
つまらないということを面白く話す天才」だと思ってた。
色んな映画に対して、過去に自分が得てきた膨大な知識でもって、
その方法論や手法に照らし合わせて作品を語る。
それが凄いと思ってた。

ただ最近それが変わってきた。
というのも宇多丸さんの映画批評っていうのはある種のメソッド至上主義というか、
良いとされてる手法がどれだけ入っているかどうかで映画を判断しているように感じる。
ここが良かった、ここが悪かった、と挙げていくんだけど、
その理由はほとんど映画メソッド的に良いか悪いかだけで。
言わばフィギュアスケートの採点をしているかのような、
トリプルフリップは何点で、ダブルアクセルが何点、
着地で失敗したから減点で、転んじゃったらもうダメみたいな。

もっと言えば、どうも先に結論ありきの論法になってる気がしてならなくて。
その結論に持っていくための道具として、
完全武装された理論を使ってそこに論旨を持っていくという。

というのも、この人って実は好き嫌いが激しいようにぼくには思える。
大絶賛してたのがラップを題材にした「サイタマノラッパー」だし、
さっき聴いた「漫才ギャング」は単に品川監督自体が嫌いなように聞こえた。

好き嫌いがあることは別に良くて、
というか好き嫌いで語ることのほうが全然面白いと思うんだけど、
「好き」「嫌い」っていう主観を、
「手法」や「技術論」という一見客観的な論理で語る
のが、
どうも「うるせえな」と思うようになってしまいました。

最近は嫁と一緒に映画を観ることが多いんだけど、
こういう人と観てると、今までの「手法が〜」とか「技術論が〜」という
そういう観方が正しいのか?と思うようになってきて。
映画的に良くなくても、なんとなく楽しければいいんじゃないの?って。

「お酒好きな人は酒を悪く言わない。
 そういうやつは語ってる自分が好きなだけだ。
 本当の酒好きはどんな酒でも美味そうに飲む」


なんかこんな話がどこかにあったけど、
こっちの方がぼくは正しいように思った。


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posted by 市村 at 18:49 | Comment(19) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月01日

「綱引いちゃった」の感想 〜主婦の団体戦は面白い〜

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いやー、めちゃくちゃおもしろかったー。
泣いちゃいましたよ。そしてめちゃくちゃ笑いました。

ストーリーとしては市役所員の井上真央が「綱引きでPRしろ」って言われて、
給食センターのおばちゃんたちと綱引きチーム作るって話で。
まあウォーターボーイズとか、フラガールとか、それ系のよくある感じっちゃ感じで、
観終わって何か学べるような映画ではないんですけど、2時間すげー楽しめた。

ただそういう系と大きく違うのは登場人物がおばちゃんっていうところで。
この人たちはそれぞれ家では役割があって仕事があって、
その事情を抱えて練習に参加しているんですよね。
認知症の父を持つ渡辺直美、血の繋がってない息子を持つ西田尚美、
そして夫が仕事ができなくなったことでみんなに内緒でバイトを掛け持ちしてた浅茅陽子とか。

なんかこの主婦特有の立ち位置みたいなところが面白くて。
そうやってそれぞれ違う立場にある人たちが、全員で一本の綱を引く。
松坂慶子が「人生は団体戦」って言うんですけど、
主婦は家に帰るとまた違う団体の一員にならなきゃいけないというか、
それぞれの"家族"っていう団体のひとりである主婦が集まったのがあのチームで。
そういう意味で主婦の団体戦っていうのが、この映画の面白さでした。

また、良かったのは配役。
井上真央を筆頭に、西田尚美、渡辺直美、ソニン、そして松坂慶子。
特に松坂慶子が最高でした。
陽気なオモシロおばちゃんを演じながら、
浅茅陽子が倒れる場面ではそのおばちゃんの友情に泣かされました。

観る前は大して期待もしてなかったんですが、泣いて笑えて最高でした。
調べたら監督はドラマ「Woman」の演出なのね。
そりゃ良いわけだわ。

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posted by 市村 at 23:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月23日

映画けいおん!の感想 〜物語を2つやっちゃってる〜

けいおん!の映画を観ました。

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けいおん!の映画と言えば、アニメ版の最終話の最後、
画面の左から現れた唯によって発表されましたね。
そのときは「おお、映画になるのか!!」と思って興奮してたんですけど、
なんだかんだで映画館にも行かず、2年くらい経って、
たまたまケーブルテレビでやってたのを観たという。。。

そんでまあ内容の方なんですけど、
基本的にはけいおん!の楽しみ方って、
「動いてる彼女たちが観たい!」みたいな、
そんな感じだと思うんですよね。

アニメの方でもストーリーに関しては特に何が起こるでもなく、
彼女たちの平凡な日常の中でのやりとりだったり、会話だったりが良いのであって。
なんかこう言うと誤解を生むかもしれませんが、
"女子高生の覗き見"みたいなところがけいおん!の面白さだったように思います。

そうなると、映画を観る前に思ってしまうのは、
「どれくらい何かが起こるんだろう?」みたいなことで。
つまりアニメは別に何も起こらなくたって良かったけど、
映画にするってなったらさすがに何かが起こらないと難しいんじゃないのと。

んで、フタを開けてみたらまず一つ目にあったのが「卒業旅行に行こう」ということ。
これは予告でも知らされてた「軽音部でロンドンに!?」っていう主なストーリーですよね。
そして映画の中では実はもう一つストーリーがありました。
それが「後輩の梓にプレゼントをしよう」ということです。

その2つのストーリーがこの映画の主な目的になっていくんですけど、
これがね、まったくもって別々の話になってるんですよね。

まず最初に「梓にプレゼントをしよう」っていうのがありましたよね。
その中でクラスメイトの会話から「卒業旅行に行こう」ってなって。
そんで「ロンドンに行きました」→「楽しかったです」→「そろそろ梓に曲を作ろう」と。
完全に帰ってきてから作り始めてるっていうね。

何が言いたいかというと「ロンドン行く意味あったの?」っていうことで。
梓に曲をプレゼントしてる最中に曲作りの風景が映し出されるんですけど、
たぶん全部日本なんですよね。
え、なんならロンドン邪魔になってない??っていう。
一応「普段の私たちでいいんだ」みたいなことを気づいたってのはあるんですけど、
それでも得るものが少なすぎるっていうか。。。

そもそも2時間くらいの映画の中で、ロンドンにいたのって1時間くらいですよね。
だから「軽音部がロンドンに!」って考えるとロンドンが少なすぎるし、
「梓にプレゼントを!」って映画だと考えても「途中のロンドンいる?」ってなるよねと。
つまりはこの映画ってストーリーが2つあるんですけど、
それを絡ませないまま2つやっちゃってるんですよね。

なので映画全体の感想を言えば「ロンドンいる????」ってなっちゃうんですけど、
それでも良いか悪いかで言えば、良かったっていう感想なんですよね。
それはやっぱり「軽音部がまた動いてる!」っていう楽しさだし、
「梓に曲をプレゼントする」っていうのは、
軽音部の"音楽"が大好きな梓に、練習嫌いな先輩たちが曲を作ったってことで、
ずるいほどに良いラストでした。

というわけでまとめると、
「映画としてどうこうは知らん。しかし『けいおん!』のまとめとしてはグッド」
みたいなことになると思いました。
本当ならロンドンで、例えばあの寿司屋でもっと大失敗したりして、
それがきっかけでケンカとか起きたりして、
それでも梓のためにってことで一つになって、
ラスト、ロンドンで梓に曲をプレゼント!
みたいな感じになれば、「ロンドン」と「プレゼント」が少しは絡むかなと思ったけど、
まあ「何か起きちゃう」のもけいおん!っぽくないといえばないので。
難しいところですね。

同じ空見上げて/ユニゾンで歌おう
これはずるいでしょ。泣いちゃうでしょ。








posted by 市村 at 19:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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