2014年01月14日

「戦術に関してはこの本が最高峰」の感想 〜サッカー戦術の資料集〜

戦術に関してはこの本が最高峰―これぞサッカーの「戦術学」 全世界30クラブ解体新書
戦術に関してはこの本が最高峰―これぞサッカーの「戦術学」 全世界30クラブ解体新書

サッカーの戦術本を読みました。
これを読んで思ったのは、"戦術"ってなんなんだろってこと。

この本ってこんなタイトルがついてるから、
「作戦一覧」みたいな内容なのかなーと思ってたら、
内容はクラブごとに切り分けられた30個のコラムになっているんですよね。
ミランならミランの、バルサならバルサの、
これまでの歴史と、ある地点での一つのスタイルに焦点を当てて、
どういう経緯があってなぜこういうスタイルに行き着いたかっていう。

"戦術"っていうと、フィールドの上で用いられるもののように思われますが、
この本を読むと、一つのチームがその"スタイル"に行き着くまでには、
監督がどういう哲学をもっていて、そしてチームにはどういう選手がいるのか、
またそのクラブにどういう文化があって、果ては時代がどのような流れの中にあるのか。
そこまで考えられた上で、初めて試合で使われる"戦術"がチョイスされるものなのかなと、
この本を読んで思いましたね。

個人的に面白かったのは、"ウイング"というポジションの歴史。

70年代までは花形ポジションだったウイングも、
80年代に入ると減少の一途をたどり、
ウイングバックという名のサイドバックが取って代わる。
さらにデビット・ベッカムに代表されるクロッサーがサイドに現れる。
ところが、90年代から徐々に本格派のウイングが見直されはじめ、
21世紀になると運動量が豊富で守備のできるドリブラー、
ウインガーの発生で再び"市民権"を得るに至った。
(本文より抜粋)


これを読んで分かる通り、時代によって"戦術"というものは
その姿を大きく変えているものなのですが、
それもこの世の中に最強の"戦術"なんてないからだと思うんですよね。
ある"戦術"が流行りだすと、それに対抗するための違う"戦術"が発明される。
そしてその"戦術"が流行りだし、さらにそれに対抗する"戦術"が編み出される。
そのようなある種の"食物連鎖"的に変移してきた戦術の歴史。
ウイングというポジションが"運動量"を携えて再び歴史の表舞台に上がってきたように、
そのサイクルは螺旋状に上へ上へと進化の道を進んでいるのです。

この本が発売されたのが2008年なので、
この5年間でさらに現代サッカーの"戦術"は形を変えている部分はありますが、
今のサッカーがどの"文脈"から紡がれた未来なのかを知る上でも、
歴史の資料集」として、とても有益な本だったと思います。

願わくばこの形式のJリーグ版が読みたいと切に思いました。
誰か書いてください。




posted by 市村 at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 本の感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/385179749

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。